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抵当権が付いたままで不動産の売却は可能か
法律的には、抵当権が付いたままで不動産を売買することはできますし、また、実際にこのような取引も無いわけではありませんが、これはごく稀なケースです。
一般的には、特殊な事情がない限り、他人の借金の抵当権が設定されたまま、オーバーローンの不動産を買いたいと思う人はいないと思います。ではありますが、
複数の抵当権が設定されていたり、抵当権の他税金等の差押の登記のある物件も任意売却が可能です。
金融機関による抵当権の設定が一つだけではなく、複数の抵当権が設定されていたり、また市区町村税、固定資産税の滞納による差押の登記が為されている場合でも、任意売却は可能です。

債権者は競売による換価処分よりも、任意売却を好む傾向にあること、また現在の傾向として、売却した代金が第1順位の債権者の債権額さえ満足に充足しきれない場合が多く、このような場合、競売では第2順以下の債権者には配当がありません。

しかし、任意売却の場合は、原則として全ての抵当権が抹消されなければ取引は成立しないので、この場合第1順位の債権者は、第2順位以下の債権者に対して、抵当権抹消の承諾料(通称ハンコ代といいます)を用意します。用意される金額は第1順位の債権者の方針により様々ですが、第2順位以下の債権者は競売による換価処分の場合は、回収額は「0」となり全く回収できない訳ですから、例えハンコ代がさほど大きな額では無くても、任意売買を選択することが多いのです。
競売の申立を受け、この差押の登記が為されている物件の任意売却も可能です。
競売の申立を受けてからでも任意売却は可能です。基本的には、今まで説明してきた手順と異なるところは無いのですが、近年メガバンクを中心に競売の登記が為されている物件に対する住宅ローンの取り組みを回避する傾向があります。

このため、住宅ローンを利用して購入を希望する場合は、このような物件でもローンを取り扱ってくれる一部の地方銀行か、あるいはノンバンク系のローン会社を利用せざるを得ないこととなります。 これらの地方銀行、ノンバンクは金利が高い場合があるので敬遠されることが多く、競売の登記がある物件は売却に手間取る傾向があります。

また、競売の登記の為された物件の売買を行うについては、競売を申立てた債権者が裁判所にこの取り下げの申請を行わなければならず、この実務的な期限は競売の開札日の前日まで(民事執行法76条の定めでは、最高価の買受人が決まるまでは取下ができる、と読めますが、当日の取下の申請では裁判所内部の事務処理が間に合わない可能性があり、実務的には不可能なようです)です。もしこの取り下げを行わない場合は、競売で入札した最高金額の買受希望者が買受人として決定されてしまうので、販売活動の期間が極めて限定されることとなります。

これらの事情を考えると、任意売却はなるべく早く決断し、少なくとも債権者からの競売の申立を受ける以前に実施することをお勧めします。

債権者が任意売却を承諾するのはなぜなのか
そもそも、なぜ、債権者は任意売却を承諾するのでしょうか。債権者が承諾するには以下の理由があるからです。
(1)任意売却の方が競売より高く売れる
(2)任意売却の方が競売より早く回収ができる
等で、債権者にとっても競売より任意売却の方がメリットが大きいからです。
詳しくは「競売と任意売却の相違点」のページをご覧ください。

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